愛しのコンポスト
まさか、コンポストをカメラで撮る日がこようとは、設置した当初は思いもよりませんでした。
花や野菜・木々を愛する園芸好きの皆様!
美しいバラの香りを楽しみ、庭にやってくる小さな生き物達を愛でる、とても心優しき人達よ・・・
庭作りで一番大切な事・いつも頭の片隅で考えている事は、
もちろんこの土作り・堆肥作りの事でしょう。美しく、ほっくりとできあがった堆肥の香り・・・
その時の喜びの為に、せっせと放任園芸家は、12ヶ月間、コンポストに生ゴミを投入し続けるのでした。
(↑裏の小さな畑に埋めこんだ、2001年・6月撮影のコンポストの画像です)
■↑平成3年(1991年)に設置したコンポスト1号です。
画像では見えませんが、下に窓がついているタイプのものです。
堆肥になり次第、下からシャベルで取り出せ
便利かと思ったのですが、虫(イエバエ・コウカアブ)なども、
窓の部分から容易に入る事ができます。
平成28年に至るまで、庭で活躍してくれていますが、
年月が経つごとに、窓枠部分と本体の隙間が摩耗して、
大きくなってしまいました。
このタイプのコンポストは、 生ゴミを除いた枯草や野菜屑だけで
堆肥を作る場合には便利だと思います。
もしくは、生ゴミを入れた後には、たっぷりの土を入れましょう。
■通常、ウジと呼ばれる
イエバエやコウカアブの幼虫は、
ベタベタジメジメしている、湿度たっぷりの場所を住処とし、
美味しい生ゴミがごちそうです。
これらの虫は、コンポストの蓋と本体のわずかな隙間に、
びっしりと卵を産むので、卵を見つけたら、
シャベルなどでこそぎとってしまうと良いでしょう。
でも、その幼虫達も不衛生ではありますが、
生ゴミを堆肥化してくれる事に一役かっているのです。
もちろん殺虫剤を使えば、虫の発生は押さえられます。
最初まだコンポストでの堆肥作りに慣れていないころは、
生ゴミの量に対して、土の量や発酵促進剤の量が少なすぎたので、
コウカアブの幼虫がコンポストの中をうねるように大発生し、
あの悪臭というおぞましい光景を何度か体験いたしました。
(宮崎駿監督の「もののけ姫」の中のワンシーンで、コウカアブの幼虫らしきものが大量に
蠢くシーンがありましたが、監督はコンポストの中を知っていたのかも知れません?)
その蠢く幼虫と悪臭に耐えきれずに、
何度か殺虫剤を使用した事がありましたが、
なるべく無農薬で野菜作りをしたいので、土に何年も残留する殺虫剤は、
今では使用していません。
生ゴミを投入し続ける限り、
こういう虫ともおつきあいをしなければなりません。
台所からでる、野菜屑や魚・肉などの残飯をコンポストに投入するだけで、
何ヶ月後にはみごとな堆肥に変わってしまうのですから、
多少の虫には目をつむりましょう。
などと、最初は深く考えもせずに生ゴミを投入し続けていましたが、
何年か堆肥を作りこんでいるうちに、以下の方法で、大量の虫に遭遇することなく
かなりの確率で美しい堆肥ができる事がわかりました。
(ただし、設置している環境、投入する生ごみの種類によっては
コウカアブやハエがが発生します)
■生ゴミを3〜4回投入するごとに
生ゴミ発酵促進剤や乾燥した土・石灰を入れると、
多少の虫の発生を押さえる事ができます。
生ゴミ発酵促進剤は、始めてコンポストを購入したお店で、
お店の方に薦められて、一緒に買い求めました。
私はニュークサミノン(アロン化成(株)を使用していますが、最初は
振りかける量が少なすぎたようです。
生ゴミ20cmに30gを均等にうっすらと白くなるように振りかけ、
更に土をかけ・・と繰り返します。
生ゴミ発酵促進剤は、好気性有用微生物が繁殖する際に、
有機酸を生産し、アンモニアを中和して刺激臭をなくします。
微生物の繁殖により腐敗菌の増殖を押さえてくれる為、
悪臭ガスも発生しません。
■始めてコンポストを設置して以来、台所の生ゴミはすべてコンポスト行き。
気分もスッキリ・・・開けるのドッキリ!
野菜屑・残飯・魚のアラなど、ムダなくコンポストに投入すれば、何ヶ月後には、惚れ惚れするような
堆肥に変わっているのですから・・・そして、その満足感を年に
何度も味わう事ができるのです。
(↑その後やってきたコンポスト2号です。)
■ 今ではコンポストでの堆肥作りはおまかせあれ。
ちなみに、家では年に4回くらい(1つのコンポストを2回)
土にすきこんでいます。
上手に堆肥化された時などは、もう大満足です。
園芸家にとって愛すべきミミズが、
コンポストの中で大発生しているのです。
もちろん家の畑の野菜達は、
この生ゴミ堆肥をすきこんで美味しい実をつけてくれるのです。
かぼちゃなどは、毎年コンポストの生ゴミから芽がでて、立派な実になります。
でも食べてみたら水っぽくて、あまり美味しくなかったので、
茹でて冷凍してスープにしました。
少し有機肥料を施すと良かったのかもしれません。
季節によってもちろん発酵具合に差があります。
冬場寒い時は、なかなか発酵しませんが、春〜秋にかけては、
気温も上がる為、堆肥化が早く、質の良い堆肥ができるようです。
■コンポストに投入する生ゴミも油分が多いと、
化成肥料に比べて野菜などの発育が不良になるようです。
油分が少なければ少ないほど、化成肥料よりも成長は良いようですが、
油だけではなく、今の時代の生ゴミにはスパイス・塩の含有量も問題かもしれません。
油分の多い生ゴミには、木材チップなどを混ぜると、緩和されるようです。
(H13.2月放送されたNHKクローズアップ現代より)
我が家はお隣の家との距離が、何百mも離れているので、堆肥作りに失敗し、
たとえ悪臭の事態に陥っても、その堆肥を木や野菜の肥として土の中に
埋め込んでしまえば、3日もすると、悪臭は徐々に消えてしまいます。
もしも、お隣の家との距離が近い場合、コンポストの中には落ち葉や草を積み重ね、
台所のゴミも果物や野菜くずを入れ、たんぱく質や油脂類を入れなければ、
コウカアブやハエや悪臭の心配はないと思います。
■コンポスト1個を空ける作業は
重労働なので、年々大変になってきますが、
新しい場所に設置し終わった時の満足感はなんともいえません。
設置したてのコンポストに、最初に生ゴミを投入した時などは、
コンポストの中で繰り広げられる、微生物同士の新たなドラマを
思わずにはいられません。
■ご覧下さい、この美しさ!
顔を近づけて良く見てみると、空気をたくさん含んだ堆肥の
出来あがりです。もちろんあの悪臭は全くしません。
春夏のカツオ・冬のイナダなどの残骸が入っているとは思えないでしょう?
蓋までたっぷりあった生ゴミも、このように容器の2/3くらいまでへこみます。
土の表面近くには、分解者として生態系で重要な役割を果たしている
菌類を食べるトビムシやコムシの仲間が活躍しています。
ダンゴムシ・ミミズ・小さなクモ達の住処となっています。
よーく耳を済ましていると、ミミズが土の中を潜ったり、
顔を出したりするたびに、クチュクチュ・ピチュピチュという
音が聞えてくるではありませんか♪♪
かつては生ゴミだったものが、
こんなにみごとなこげ茶色の豊かな土に変身するのです!
そんな驚きをコンポストの中で発見したあの日から、
私はもう堆肥作りのとりことなりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・2013年6月・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(老眼が進んだので、文字を大きくしました)
日々せっせと投入し続けている生ゴミですが、平成○○年には何カ月か、
平成○○年にはそれ以上の月、平成○○年にも、コンポストに向かう気力のない年もありました。
人生、生きているうちには、思いもかけない、いろいろな事が起こります。
月日を経て、今ではまたこうしてコンポストに生ゴミを投入しています。
コンポストの蓋を開け、台所の生ゴミを逆さに払いすっきりとする、
何の事はないこのささやかなる単純作業ですが、
いつもと変わらずにそう出来る事を有難いと感じながら、
コンポストに向かう日々を過ごしています。
平成13年6月2日撮影のコンポスト2号 平成13年6月下旬撮影
コンポスト脇のこぼれ種で育った紫蘇の葉はコンポストから
浸み出る栄養を取りこんで、葉がふさふさとしています。手前はサニーレタスです。
ただし、このコンポストを空ける作業、なかなか大変です。
自分一人の力では年々、重労働になってくるのですが、一体何歳までこの作業を
続ける事が出来るのか、1年に4回×●●年・・と考えていたら、もしかしたら数え切れる回数のようで、
そうなると、一層コンポストが愛おしくなりました。
人間、どんなに単純な作業でも、それが出来なくなる時がいつかはやって来るのです。
ここのフォントを大きくしたのも、その一つ、まずは五感のうち、視覚が少しずつ衰えてきたようです。
(平成13年6月2日撮影のコンポスト1号、手前にパセリ・きゅうり・茄子が植えてあります。)
ここから駅まで歩くことが当たり前に出来たのが、
いつの日か遠く感じて、だんだん距離が短くなり、
一歩踏み出すのが大層困難になってしまう時が必ずやって来ます。
誰もが通らなければならない「道」がいつか・・・突然かもっと先の方で待っているのか、今は分かりません。
コンポストを空ける作業も、重くて大変ではありますが、
誰かの力を借りずに、まだ一人で出来る事に感謝しつつ、
日々コンポストの蓋を開けて生ゴミを投入し続けています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2014年7月・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
毎年コンポストを空けた堆肥の中から、かぼちゃの苗が育ちます。
今年はかなり大きく、裏庭の小さな畑は
かぼちゃの園と化しました。
かぼちゃは蔓を四方八方に伸ばして、
どこまでもどこまでも留まるところを知らずに、成長してゆきます。
柿の木にも、みかんの木にも、ゆずの木にも這い上がって、
とてもたくましく育っています。
コンポストの堆肥に鶏糞と油粕を混ぜて施したら、
こんなに大きく育ちました。
小さな実もつき、収穫が楽しみです.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2014年8月・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨年の夏に食べたかぼちゃの綿と種を捨てたコンポストの中から
春にいくつかのかぼちゃの芽が出てきました。
↑の画像のように、7月にはコンポストを大きなかぼちゃの葉が
覆い尽くします。
そして、この夏にはこんなにみごとなかぼちゃが
ごろごろと収穫出来ました。
御盆のお供えにもぎりぎり間に合い、ほっとしました。